海も空も輝くNew Yorkの地で開催されたグループ展「BREAKTHROUGH -New and Rising Japanese Artists」で、しののめ氏は新進気鋭の日本人アーティストのひとりとして出展を果たしました。
■グループ展名:BREAKTHROUGH -New and Rising Japanese Artists-
■会期:
第1会期 2024年5月8日(水)~12日(日)
第2会期 2024年5月15日(水)~19日(日)
■会場:One Art Space
公式HP:https://oneartspace.com/
常に変化を続けるニューヨーク。その最南端エリアのトライベッカ地区にて、選抜された新進気鋭の日本人アーティストによるグループ展「BREAKTHROUGH -New and Rising Japanese Artists」が開催されました。
しののめ氏が発表したのは、得意の絵巻物スタイルの刺繍作品「燕の見る夢」です。背景となる物語は、「幸福の鳥『燕』が母なる海で魂を宿し、時が満ちると空に羽ばたき輝きの者となる」という伝説です。その伝説に基づき、燕が見る私たちの知りえない浮世の世界を、グラデーションに染めた絹織物全面に、大胆かつ繊細に縫い描いています。
異色の存在感を放ちつつ軽やかで気品のある「燕の見る夢」は、来場者の関心を引きました。色彩のグラデーションと、特に細部にわたる繊細で丁寧な刺繍が、観る者に深い印象と驚きを与えました。
本グループ展の会期中、しののめ氏は制作スケジュールにより渡米はしませんでしたが、ニューヨーク在住のアートディレクター戸塚憲太郎氏が講評を寄せました。
「刺繍ならではの存在感と、手作業の美しさに感動しました。他作品の刺繍エネルギーも見てみたい」
「いつの日か、NYへ作品を渡らせたい」と想いを馳せていたしののめ氏、今回の機会を振り返っています。
まずは、この出展の機会にお力添えとご協力を賜りました関係者の方々に厚く御礼を申し上げます。
お話をいただいた当初、一度はお断りをいたしました。 なぜなら直前の出展であるパリへ作品を納めた後、このグループ展のための納期が半年に満たず、刺繍という表現手法であるが故、日常に溶け込ませながらミリ単位で少しずつ進めていく制作が必然となる私のスタイルでは、構成から仕上げまで納得のいく制作は不可能と判断したからです。
しかしながら、再三のお声がけと、私の中の「いつかはニューヨークでお披露目できるチャンスがあれば」というくすぶる気持ちが、制作途中のまま眠っている作品があることを思い起こさせました。故に、このお話がなければ「燕の見る夢」は完成することもなく、皆さまにご覧いただくこともなかったかもしれません。
まさに、作品のテーマにした物語のとおり、海で眠る燕が空を渡るような出来事となりました。私自身、夢を見ているようであり、達成感と満足感のある出展となりましたことを、御礼と共にここに記したいと思います。
しののめ